概要
中小企業診断士は、中小企業の経営に関する専門的なコンサルティングを行う国家資格です。
経済産業大臣が認定する唯一の経営コンサルタント資格として位置づけられており、企業の経営課題の診断や改善策の提案を通じて中小企業の成長を支援します。
中小企業のパートナーとして経営の課題解決を支える専門家であり、日本経済の重要な支柱となる中小企業の発展に寄与する役割を担っています。
試験内容
受験資格
- 1次試験:学歴・年齢・実務経験の制限なし。誰でも受験可能。
 - 2次試験(筆記):1次試験合格者が受験可能。
 - 2次試験(口述):2次筆記合格者のみ受験可能。
 
試験方式
- 1次試験:7科目の択一式(マークシート方式)、2日間で実施。
 - 2次試験:筆記試験(事例問題4科目の記述式)+口述試験(面接形式、約10分)。
 
出題範囲
1次試験(7科目)
- 経済学・経済政策:ミクロ経済学、マクロ経済学、経済政策
 - 財務・会計:財務諸表分析
 - 企業経営理論:経営戦略論、組織論、マーケティング論
 - 運営管理(オペレーション・マネジメント):生産管理、店舗管理、品質管理
 - 経営法務:会社法、知的財産権法、契約法
 - 経営情報システム:IT基礎知識、情報システム管理
 - 中小企業経営・中小企業政策:中小企業の特性、経営支援策
 
2次試験(4事例)
- 組織・人事問題に関する診断・助言
 - マーケティング・流通・生産・技術面の診断・助言
 - 財務・会計に関する診断・助言
 - 中小企業政策に基づく実務の事例
 
出題数・試験時間(一次試験)
| 科目 | 試験時間 | 出題数 | 備考 | 
|---|---|---|---|
| 経済学・経済政策 | 60分 | 25問 | 配点1問4点 | 
| 財務・会計 | 60分 | 25問 | 配点1問4点 | 
| 企業経営理論 | 90分 | 約42問 | 配点1問2~3点 | 
| 運営管理 | 90分 | 約42問 | 配点1問2~3点 | 
| 経営法務 | 60分 | 25問 | 配点1問4点 | 
| 経営情報システム | 60分 | 25問 | 配点1問4点 | 
| 中小企業経営・政策 | 90分 | 約42問 | 配点1問2~3点 | 
※1次試験は2日間に分けて連続して実施されます。
合格基準
1次・2次ともに「総得点の60%以上かつ各科目で40%以上」が基本。
2次試験の口述は評定60%以上。
合格率
1次試験:約20~30%
2次試験:約18~19%
全体(ストレート合格)は約4~7%
受験料
1次試験:14,500円(非課税)
2次試験:17,800円(非課税)
受験会場
- 全国主要都市の指定会場(試験案内にて公表)
 - 基本的に公共施設や大学、企業の研修会場など
 
合格後
STEP1
合格(2次試験合格)
- 2次筆記・口述試験で合格すると「中小企業診断士試験合格者」となります。
 - この段階ではまだ「中小企業診断士」と名乗ることはできません
 
STEP2
実務補習または実務従事(3年以内)
- 合格後3年以内に「実務補習」または「実務従事」を15日以上行うことが必要です。
- 実務補習:診断協会などが主催する企業コンサル実習。原則5日×3社(計15日)の参加が一般的。有料で受講(例:178,600円程度)。
 - 実務従事:実際の業務で企業の診断・助言を15日以上行い、証明書を提出。
 
 
STEP4
官報公示・登録完了
- 中小企業庁で適格確認後、氏名・登録番号などが官報に公示されます。
 - 官報掲載をもって正式に「中小企業診断士」を名乗り、公式に活動可能となります。
 
STEP5
各種協会への入会や活動開始
必須ではありませんが、都道府県診断士協会への入会でネットワーク形成や各種研修・案件斡旋などの機会が得られます。
STEP6
登録更新
登録有効期間は5年。継続して「診断士」の資格を維持するには、更新研修や実績(日数)を満たし、更新登録申請が必要です。
