概要

救急救命士国家試験は、厚生労働省が実施する国家試験であり、救急現場で高度な救命処置を行う「救急救命士」として働くために必須の資格試験です。

医療系国家資格の中でも「現場での迅速な医療判断力」を評価する内容で構成され、臨床救急医学の学習が中心です。

試験は毎年春に全国5会場で開催され、筆記試験のみで実施されます。

試験内容

受験資格

  • 高卒以上で指定の救急救命士養成学校(2年以上)を卒業
  • 大学で公衆衛生学等13科目修了+指定学校1年課程修了
  • 消防士として救急業務を5年以上(2000時間以上)+指定課程修了
  • 外国の救急救命士課程修了および同等認定
  • 看護師など他医療資格者で同等と認定された場合

試験方式

  • マークシート方式(5択または2択の選択問題)
  • 実技試験は行われない

出題範囲

以下の5分野で出題される。

  1. 基礎医学(社会保障・社会福祉、患者搬送を含む)
  2. 臨床救急医学総論
  3. 臨床救急医学各論(一)臓器器官別臨床医学
  4. 臨床救急医学各論(二)病態別臨床医学
  5. 臨床救急医学各論(三)特殊病態別臨床医学

出題数・試験時間

区分問題数配点内容試験時間
A問題120問1問1点一般問題午前 2時間40分
B問題30問1問1点必修一般問題午後 2時間40分
C問題10問1問2.5点必修状況設定問題午後 2時間40分
D問題40問1問2.5点状況設定問題午後 2時間40分

合計 200問・275点満点

合格基準

  • 必修問題(B + C問題):80%以上(44/55点以上)
  • 一般問題(A + D問題):60%以上(132/220点以上)
  • 両方の基準を満たしていることが必要

合格率

毎年80〜95%前後。

受験料

14,300円

受験会場

全国5都道府県で実施される。

  • 北海道
  • 東京都
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 福岡県

合格後

STEP1
合格通知の受領
  • 国家試験合格発表後、各受験者へ「合格通知」および「成績通知」が郵送される。
  • ここで初めて免許申請の準備を開始できる。
STEP2
救急救命士免許登録申請
  • 救急救命士として働くためには、救急救命士名簿への登録申請が必要。
  • 登録後に免許証が交付される。
STEP3
必要書類
  • 救急救命士免許申請書(所定書式)
  • 合格証明書または成績通知書の写し
  • 戸籍抄本または住民票の写し
  • 診断書(3か月以内発行)
  • 手数料(収入印紙9,000円相当)
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)

※合格後1年以上申請が遅れる場合は、「業務に従事していない旨の申述書」が必要。

STEP4
名簿登録と免許証交付
  • 提出された書類が審査され、問題なければ「救急救命士名簿」に登録される。
  • その後、厚生労働大臣名の「救急救命士免許証」が交付される。
  • この時点で、法的に救急救命士として業務が可能になる。
STEP5
登録後の留意事項
  • 婚姻や本籍地の変更があった場合は、名簿訂正の申請が必要(30日以内)。
  • 住所変更のみの場合は、手続き不要。
  • 免許証を紛失・破損した場合は、「再交付」または「書換交付」の申請が可能
STEP6
合格後に注意すべき点
  • 登録される前に救急救命士業務を行うことは、法令違反となる。
  • 登録完了までの待機期間中は、消防や医療機関での実務従事は不可。
  • 合格後はできるだけ早めに申請を行うことが推奨される(1年以内が原則)。