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ややこしい全部床義歯作製の手順を意義も含めわかりやすくまとめて解説|国家試験対策

全部床義歯の勉強を進める際、「なんでこんなことしているのだろう?」「いまなんのためにしているのだろう?」と思ったことはありませんか?

全部床義歯の作製工程は多いため、ややこしくなることが多々あります。

なので今回の記事では、全部床義歯の手順をまとめ、なぜそのような工程が必要なのかという意義も含めて、理解を深めるために解説していきます。

概略とその工程の目的

全部床義歯の作製工程は以下の通りに行います。

STEP1
診察、検査、診断

【目的】どのような義歯を作るべきかを決定するための情報収集

STEP2
前処置

【目的】印象採得や義歯製作を行う前に、支持・維持・安定を阻害する要因を取り除く

STEP3
概形印象採得

【目的】個人トレーを作るための印象

STEP4
研究用模型の作製

【目的】個人トレーを作成するための模型を作る

STEP5
個人トレーの作製

【目的】精密印象を正確に行う

STEP6
精密印象採得

【目的】最終的な義歯を作るための印象

STEP7
作業用模型の作製

【目的】全部床義歯製作の基準となる模型を作る

STEP8
咬合床の作製

【目的】顎間関係の記録及び人工歯排列の基準を得るための装置を作る

STEP9
仮想咬合平面の決定

【目的】人工歯排列の基準を設定し、審美性・発音・咀嚼機能・義歯安定性を確保する

STEP10
顎間関係の記録

【目的】上顎と下顎の位置関係を決定・記録する

STEP11
標示線の記入

【目的】咬合堤上に人工歯排列の基準となる線を記入する

STEP12
下顎運動の記録

【目的】患者固有の下顎運動を咬合器上に再現するために行う

STEP13
咬合器装着

【目的】記録した顎間関係を咬合器上に再現し、口腔外で人工歯排列や咬合調整を行えるようにする

STEP14
人工歯の排列

【目的】咬合器上で人工歯を適切な位置に配置し、審美性・発音機能・咀嚼機能を回復するとともに、義歯の維持・安定を得る

STEP15
歯肉形成

【目的】排列した人工歯の周囲の義歯床用ワックスを整え、天然歯周囲の歯肉や歯槽堤の形態を再現する

STEP16
ろう義歯試適

【目的】排列した人工歯とワックスで形成された義歯床を患者口腔内に装着し、完成前に審美性・機能性・顎間関係を確認する

STEP17
埋没

【目的】ろう義歯をフラスコ内で石膏に包埋し、ワックスをレジンへ置き換える準備を行う

STEP18
レジン重合

【目的】埋没・流ろう後に形成された鋳型内へ義歯床用レジンを填入し、重合反応によって最終的な義歯床を作る

STEP19
研磨

【目的】重合後の義歯表面を滑沢に仕上げ、口腔内で快適かつ衛生的に使用できる状態にする

STEP20
咬合器再装着

【目的】重合後の義歯を再び咬合器に装着し、重合によって生じた咬合誤差を修正する

STEP21
人工歯の削合

【目的】人工歯の咬合面を選択的に削合し、適切な咬合接触や両側性平衡咬合を付与する

STEP22
義歯の装着

【目的】完成した全部床義歯を患者の口腔内へ適合させ、咀嚼・発音・審美・機能を回復するとともに、義歯の維持・安定を確認する

STEP23
経過観察

【目的】義歯装着後に定期的な検査・調整を行い、義歯と口腔組織の調和を維持しながら長期的な機能回復を図る

これを見ただけで吐き気を催すぐらい工程がありますね…

また作業用模型や研究用模型などややこしい用語も多く登場するため、余計頭がこんがらがります。

作製工程の簡略化

工程が多すぎるので、ある程度まとめると簡潔になります。以下の流れは自分なりに工程をまとめてみました。

STEP1
準備段階

患者の口腔状態を確認する

STEP2
個人トレー作り

患者の口腔状況を口腔外でも再現するために使う道具づくり

STEP3
口腔外にて患者の口にフィットする仮の義歯作り

咬合床、上下顎位置関係、人工歯排列をして、患者の口腔外で作業する

STEP4
試適

口腔外で作った仮の義歯を元々の口腔内にフィットするか確認する

STEP5
レジンに置き換える

仮の義歯を、真の義歯に置き換える

STEP6
完成

調整をして完成

このように義歯を作る際、患者の口の中で作業するわけにはいかないので、患者の口の中の状況を口腔外にて精密に再現する必要があり、その再現する工程が多い印象があります。

混同しやすい用語

全部床義歯は似たような名前の用語が多いです。特に混同しやすいものをまとめます。

① 概形印象(予備印象)と精密印象(最終印象)

項目概形印象精密印象
目的研究用模型作製作業模型作製
トレー既製トレー個人トレー
記録内容概略形態支持域・辺縁形態
精度低い高い
次の工程研究用模型作業模型

概形印象=個人トレーを作るため

精密印象=義歯を作るため

② 研究用模型と作業模型

項目研究用模型作業模型
印象概形印象精密印象
用途個人トレー作製義歯製作
精度概略高精度

研究用模型で義歯は作らない。

③ 個人トレーと咬合床

項目個人トレー咬合床
用途印象採得顎間関係記録
使用時期精密印象前咬合採得時
構成トレーのみ基礎床+咬合堤

個人トレー→印象

咬合床→咬合採得

④ 基礎床と義歯床

項目基礎床義歯床
時期製作途中完成後
材料レジンなどレジン
用途咬合堤支持義歯支持

基礎床=仮の義歯床

⑤ 咬合床と咬合堤

項目咬合床咬合堤
構成基礎床+咬合堤ワックス部分
役割顎間関係記録咬合高径決定

咬合堤は咬合床の一部⑥ 咬合高径と下顎安静位

⑥ 中心位と中心咬合位

項目中心位中心咬合位
基準顎関節歯の接触
無歯顎重要存在しない

全部床義歯では中心位を記録する。

⑦ 筋圧形成と精密印象

項目筋圧形成精密印象
記録辺縁形態支持域+辺縁
目的辺縁封鎖義歯適合

筋圧形成は精密印象の一部

⑧ スペーサーとストッパー

項目スペーサーストッパー
目的印象材スペース確保トレー位置決め
位置広範囲限局部

スペーサー=厚み

ストッパー=位置決め

⑨ リラインとリベース

項目リラインリベース
修正範囲内面のみ床全体
人工歯そのままそのまま
適応軽度不適合高度不適合

リライン=裏打ち

リベース=床の作り直し

⑩ 実験室リマウントと臨床リマウント

項目実験室臨床
時期装着前装着後
目的重合誤差修正口腔内誤差修正

⑪ 支持・維持・安定

これは最重要です。

用語意味
支持沈み込み防止
維持脱離防止
安定横揺れ防止

支持→下方向

維持→上方向

安定→横方向

⑫ ニュートラルゾーンと歯槽頂間線法則

項目ニュートラルゾーン歯槽頂間線法則
基準筋圧バランス顎堤位置
目的安定性咬合力伝達

ニュートラルゾーン=筋肉

歯槽頂間線法則=骨(顎堤)

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今回紹介した各々の工程にて詳しく解説した記事を掲載しておきますので、ぜひこちらの記事もご覧になって、より理解を深めてください。


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